過去に自身のブログで公開していたコンテンツです。アニソン絡みでしたので、まとめてこちらに掲載しておきます。
2010年01月20日
CDからどこへ向かうのでしょう
最近、アニソンCDがオリコンチャートを賑わすようになってきています。
水樹奈々嬢のシングルやらアルバムやら(「PHANTOM MINDS」「ULTIMATE DIAMOND」)が、オリコン1位をとったり…
…と、言うわけで2009年のオリコンチャートにアニソンがどれだけ入ったのか見てみましょう。
The Natsu Styleさんによる年間のランキングを見てみると、
30位 17.5万枚 東方神起「Share The World/ウィーアー!」
33位 16.9万枚 桜高軽音部「Don't say "lazy"」
34位 16.4万枚 YUI「again」
35位 15.0万枚 桜高軽音部「Cagayake!GIRLS」
となっています。年間に均すと意外と上位には食い込んでいません。とは言え、年間ランキングで純アニソンの「けいおん!」関係でこれだけランクインしているのは、やはり凄いことです。
ところで、最近オリコン入りするアニソンCDが増えてきていますので、一般曲が売れずにコレクター魂のあるアニオタが最後の砦となり、CDを買い支えているのでは?と思う所でもあります。
一般的にCDの売り上げは減ってきているのでしょうか?
Wikipediaに「CD不況」などというエントリーが出来ています。こういったエントリーが出来ると言うことは、一般的にCDが売れていないという認識があるからなのでしょう。
では、実際の所、CDの売り上げはどうなっているのか確認してみましょう。
社団法人 日本レコード協会|各種統計によると、
オーディオレコード総生産金額
オーディオレコード総生産数量
やはり、生産金額・生産数量共に減少しています。
なるほど。Wikipediaで「CD不況」というのも納得ですね。尚、Wikipediaのこの項目の中では、CD不況の理由として、以下の項目を挙げています
ところで、CDの歴史を振り返っておきましょう。
1982 CD生産開始
1984 CD普及開始
1986 販売枚数 CD>LP
1990 LP生産減少
1999 DVDオーディオ策定
1999 SACD策定
2002 CCCD生産開始
2004 CCCD生産減少へ、レーベルゲートCD廃止
こうやって振り返ってみると、CDが生まれてからまだ30年あまりしか経っていないのですね。
尚、レコードの時代から考えると、レコードが普及してから60年あまり経過。
ライフサイクルという事で考えると、レコードもCDも30年程度でリプレースされている様に思います。
…すると、CDの次に来るのは。。。
…と、考える訳です。そして、来る事がなかった、覗いてみたかった未来もあった筈です。
この項、色々とデータを揃えつつ、考えてみたいと思います。
2010年01月21日
音楽メディアの売り上げ変遷
さて、前回、ざっとCDの直面している現状について触れてみましたが、今回は更に詳しく見ていくことにしましょう。
先ずは、CDを含めた音楽メディアの状況を確認しましょう。日本レコード協会の統計によると、
音楽メディアの売上枚数
音楽メディアの売上金額
こうやって見てみると、アナログ盤の栄枯盛衰、8cmシングルの栄枯盛衰と共に、1998年をピークとしたCD販売の減少を見て取ることが出来ます。
明らかに減ってますね。
ところで、日本のCDは高いなんて話は昔から聞くところです。
ITmedia ライフスタイル:日本のCD価格は安くなる?――法改正がもたらすエンドユーザー利益の真偽でも、CDが高い/安いという話に触れられています。その中で、2004年に日本レコード協会の依田巽会長は
先の音楽メディアの売上金額と枚数を利用すると、1枚あたりの価格が算出できますので、見てみましょう。
音楽メディアの売上げ金額/売上げ枚数=1枚あたりの単価
それぞれのメディアの初期・末期では、販売枚数が少なくなるため、一部の高価格帯/低価格帯のものに左右されてしまい、ブレが大きくなっています
が、それぞれのメディアの販売枚数が多い時期を見てみると、メディアの価格はそう変わることなく、殆ど同一水準を維持していることが分かります。
特に、8cmシングルとマキシシングルの価格比を見てみると、収録曲数はあまり変わらない(?)のに、便乗値上げされたのでは…と勘ぐることが出来るような、値上げが見て取れます。
それにしても、シングルは綺麗に一直線で価格が変わらなかったことがわかりますね。
尚、総務省の消費者物価指数中 コンパクトディスクの指数とは上記のデータは若干異なっています。
消費者物価指数によると、CDの価格は上昇傾向の後、横ばいです。
いずれにしても、CDの価格は殆ど変わっていないという事でしょう。
長年価格が変わらないという事は、物価の優等生ということなのか、それとも高価格を維持し続けた結果なのか、それは分かりませんが、今のダウンロードで1曲300円なんて時代からすると、やっぱり高いという気もします。
ところで、当時、いきつけのCDショップの店長から、CDの制作費は 8cmシングル>マキシシングル で、『8cmシングル→マキシシングルの移行は体のいい値上げだよ』と聞かされたことを思い出しました。本当かどうかは知りませんが、確かにマキシのプレ スはアルバムのプレスとなんら変わることが無くできるので、大量にプレスしているアルバムのラインに乗せることが簡単にできますね。
CDのプレス代については、先の記事の中にも
尚、この記事で問題視している「CD輸入規制」。こちらは2005年に実施されています。
これは、著作権法第113条第5項に基づくもので、「国外頒布目的商業用レコードの輸入を差し止めすること」を想定しているため、洋楽等は影響を受けてい
ません。当時の物価の安い地域ではCDを安く販売し、その安いCDが輸入(船便or航空便)という送料をかけても、日本の価格よりも安く販売されてしまう
という一物二価の状況。こういった状況を法整備でなんとか乗り切ろうとしていた日本の著作団体。CCCDもそうですが、今ある産業(利権)を保護しようと
やっきになるあまり、将来のビジョンを欠いてしまっていたのではないかな、と。消費者の側を向いておらず、消費者が何を求めているのか、いかに求めている
ものを出していくのかを考えなかった業界だったのではないかな、と考えます。
さて、次回は、CDの販売を減らして行った原因について考えていきたいと思います。
2010年01月25日
CDとp2pの密接な(?)関係
CDの販売でもっとも槍玉に挙げられる事柄として、p2p(Winny,Share)等による違法ダウンロードがあります。
あまりのダウンロード数に業を煮やしたのか、この1月1日よりダウンロード違法化法も施行されました。
違法ダウンロードにより、CDの販売は実際のところどれだけダメージを受けているのでしょうか?見ていきましょう。
先ず、今までと同じデータですが、CDの売上げについて、枚数及び金額の総合計をまとめてみました。
こちらのグラフでも1998年をピークに1999年は一気に3万5千枚減少しています。そしてその後は右肩下がりとなります。
では、p2pの代表格、Winnyの歴史を振り返ってみましょう。
1998年 mp3普及期へ
2002年 Winny世に出る
…あれ?世の中にWinnyが出る前にCDの売上げが減少しているって事でしょうか?
日本レコード協会の「ファイル交換ソフト利用調査 2002年度」によりますと、
では、その日本のp2p利用者人口を見てみましょう。こちらも日本レコード協会の資料によりますが、
年 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 |
---|---|---|---|---|---|---|
利用者数(万人) | 100 | 68.4 | 98.6 | 94.9 | 127.4 | 175.5 |
この統計では、2001~2006年まではアンケートによる利用者数割合に対して、日本のインターネット人口の利用者数をかけているのです。
2007年以降は、WinnyとShareに対して、ノード数調査を行い、実際のノード数の推定をしています。
そちらによりますと、
年 | 2007 | 2008 | 2009 |
---|---|---|---|
Winny利用者数(万人) | 30 | 19 | インデックスポイゾニングにより不明 |
Share利用者数(万人) | 22 | 22 | 22 |
ところで、先のWinMXは2008年にはどこに行ったのでしょう?
2008年は、Winny,Share以外に「Gnutella(Limewire、Cabos)等」の利用者数の調査もされています。
こちらは調査したノード数は77万件。うち、日本での利用者が2.26%という事は、日本での利用者は2万人程度しかいないということになります
(2009年も同程度の利用者となります)。WinMXの名前は挙がってきませんので、もはや調査対象として相手にされていないということでしょう。
また、先の統計を信頼するとして、2001年から2002年にかけてp2p利用者は大幅に減少しています。この数字では30%減です。しかるに、CDの売上げ枚数・金額共に10%近い減少となっています。
また、その後のp2p利用者の増加を考えると、2006年には2002年の3倍近い利用者数になっています。しかし、売上げ枚数は10%減、売上げ金額は15%減と、p2p利用者に全ての責任を押し付けるには無理がありそうです。
ところで、総務省の情報通信サービスの加入・契約状況から、ブロードバンド加入者数の推移を見てみましょう。
2008年現在の利用者数は3000万人程です。2000年の時点ではたったの86万人。それ以外のインターネット利用者がアナログ回線&テレほーだいで、ひたすらダウンロードしていた…と考えるのは適切でしょうか?
また、その後のブロードバンド利用者の増加率を考えると、ブロードバンドの普及率に反比例してCDの売上げが減っているとは考えにくいものとなります。
つまり、p2pによる売上げ減少は、そんなに悪者扱いされるほど大きな影響はないと思われます。
CDの売上げとp2pの関係については、別の切り口からITmediaモバイル:WinnyはCD売上を減らさず~慶應助教授の研究に迫るにて、慶應義塾大学経済学部助教授の田中辰雄氏が、WinnyではCDの売上げが減らしていないという研究を発表しています。
また、出口の見えないCD不況 本当の犯人は誰だ!!という記事をジャーナリストの烏賀陽 弘道氏が書いています。
どちらも、ご参照下さい。
ところで、カラオケ白書というものがあります。このカラオケ白書は全国カラオケ事業者協会による、カラオケの資料です。残念ながら、この資料は購入しない
と中を見ることが出来ないため、ネットの海に漂着していた、カラオケ白書のデータを拾い集めて、カラオケ人口のグラフを作ってみました。
これを見ると、カラオケ人口は1994年に頭打ちとなっていまして、その後は右肩下がりとなっています。
CDの売上げとカラオケは、親子・兄弟関係にあると思えるのですが、そのカラオケがCDの売上げに先んじて、下り坂になっています。
どうやら、そもそも音楽自体の危機であり、p2pやら何やらによりCDが買われなくなった…と言うよりも、音楽業界そのものがそっぽを向かれ始めているのでは?と考える方が良さそうな気がします。
その中の小さなパラメータとしてp2p等が存在するのではないかと思えてきます。
さて、なんだか、ほぼ方向性が出てしまった感もありますが、今後、CD不況の原因とWikipediaで指摘されているものをそれぞれ見ていき、何がCD不況の原因なのかを特定し、どうしたら良いのか考えていきたいと思います。
2010年01月26日
レンタルによる、販売業の圧迫(?)
日本レコード協会では、ライバル業のレンタル業についても調査をしています。しかし、ネット上に公開されている情報は断片的で、綺麗なグラフを作ることが出来ません。
一応、日本レコード協会の統計に基づき、店舗数とシングルとアルバムの在庫についてまとめてみました。
これによると、レンタル店は減少傾向にあり、扱っているCDの種類はアルバムが増えています。シングルは減少傾向にあります。これは、先に掲載した、シングル&アルバムの売上げ件数の傾向とは異なった動きを示しています。
特にアルバムは、実際の売上げ減に反比例した形となっているのが特徴的で、CDの売上げ減少分をレンタルが吸収していると言えなくもないと考えられます。
また、シングルについては、実際の売上げの減少率ほど、在庫の点数は減っていません。これは、過去の在庫を維持していて、極端に在庫を減らすということをしていないのかも知れません。
これら在庫量は、店舗面積による影響も受けますので、在庫を入れ替える必要性があるのかどうか(店舗面積がどうなのか)の観点からの分析も必要となりますので、店舗面積を見てみたいと思います。
しかし、店舗面積だけでは、店の傾向が分かるだけで、実際にレンタルがどれだけ利用されているか分かりません。そこで、別の方向からもデータを持ってきたいと思います。
JVA(JAPAN VIDEO SOFTWARE ASSOCIATION)による、ビデオレンタル店実態調査があります。詳細な結果は「ビデオレンタル店実態調査報告書」(有料)にあるそうなので、インターネット上で公開されている、概要版によりまとめてみました。
こちらはビデオ(VHS・DVD・Blu-ray)のレンタルの貸し出し本数であり、CDのレンタル調査ではないことにご留意ください。
日本レコード協会の店舗面積と、JVAのレンタル貸し出し本数をひとつにまとめると、
先のグラフと組み合わせて見てみると、レンタル店そのものは減少傾向にありますが、大型店に集約されていく事が見て取れます。また、一店舗あたりの貸出数
は増加傾向にあります。実際の総貸出数は、店舗数×貸出数平均となりますが、こちらの統計では店舗数が分かりませんので、少々乱暴ですが、日本レコード協
会の店舗数を利用したものと、JVAレンタルシステム加盟店数を利用したもので、実際の貸出数を計算してみると、
年 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
総貸出数(百万枚):日本レコード協会店舗数 | 53 | 55 | --- | 54 | 53 | 59 | 62 | 69 |
総貸出数(百万枚):JVAレンタル加盟店数 | 94 | 107 | --- | 100 | 94 | 100 | 104 | 90 |
上記、日本レコード協会のレンタル店舗数を利用した、貸出総数は、2001年に対し、2009年は130%となっています。
貸出本数はビデオレンタルの回数という事を勘案しても、CDのレンタルに対しても同様の傾向があると考えられますので、レンタル利用回数が増加しているだろうということは推察できます。
また、この増加割合を考えると、CD売上げの不振はCDレンタルのせいだ!と言ってしまいたくなります。
しかし、JVAレンタルシステム加盟店数の店舗数を利用すると、レンタルにより実際に貸し出されるメディアの数はそんなに増減していない事が分かります。レンタルは一定のCD購買層を食いながらも、その影響範囲は変わらないのではないか?とも考えられる訳です。
総合的に考えるならば、「CDレンタルの利用率は上昇しつつある」と結論づけるのが無難でしょう。
しかし、CDレンタルは1980年から存在し、20年も経てば目新しい存在ではなくなっていること、また、CDを買っている層と、CDレンタルをしている層がどれだけ重なるのかを検討しないことには、影響の大きさが分かりません。
本来ならばこれらを分析すべきなのですが、レンタル開業以来~2000年までのデータが無いこと、ユーザー層の重なりを調査するにはアンケート等の方法しかないことから、資料不足として、CDレンタルの分析はこのあたりにしておきたいと思います。
尚、参考データとして2002年の日本レコード協会による「音楽コンテンツ個人録音及びそれに関わるCD‐R等の利用実態調査」のデータを挙げておきます。
こちらによると、標本数1000中、CD購入者率は53%、レンタルCD利用率は40%(複数回答)。また、レンタル利用者を更に詳細に分析すると、購
入&レンタル利用者は(全体の)25%、レンタルのみ利用者は15%でした。別の見方をすると、CD購入・レンタル等を通じて音楽に関わった人は
全体の77%あまりだっと言うことです。
また、半年間のCDアルバムの購入平均枚数は3.9枚、レンタルは6枚。CDシングルの購入平均枚数は2.6枚、レンタルは14.4枚でした。
一回こっきりのアンケートデータなのがもったいないですね。
・レンタルのみの層=購入に貢献していない層 → 購入に貢献することがあるのかどうか
・購入&レンタル層=CD購入が増減する可能性のある層 → CD不況下で、どこまで増加するのかどうか
・購入のみの層 =レンタルに影響されない層 → CD不況下でも頑張ってCDを買っているのかどうか
の推移を見てみたくなります。
それにしても、一昔前のデータですが、半年でCDを4枚購入、レンタルを6枚する…なんて、、、今では考えられないように思います。
もう一つ参考データを。2007年、文教大学情報学部 福島美里氏の社会調査ゼミナール研究報告 パソコンによる音楽利用の変化です。
アンケート調査を中心としたもので現在の方向性を探る参考になります。
標本数が129と少ないこと、大学3、4年生を中心とした層、サンプリング対象の講義受講者へのアンケート調査であることから、かなりの偏りがある可能性も否定できませんが、興味深い結果が見て取れます。
色々と面白いのですが、今までの流れで関係あるところを抽出しますと、新品CD購入率62%,CDレンタル利用率56.6%と、この二つが突出しています。尚、ダウンロード等は20%台でした。
また、CDの購入者数は77%もいまして、こんなに沢山の人が買っているんだ…と逆に驚いてしまいそうな高率です。
まだまだCD文化は見捨てたものではないかも知れませんね。
2010年01月27日
音楽業界がいかに危ないか俺が優しく教えるスレ
CD業界の事書いていましたが、こんなスレが立っていました。
元スレ → http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1264501992/
まとめ働くモノニュース : 人生VIP職人ブログwwwより
音楽業界がいかに危ないか俺が優しく教えるスレ
業界人によるものなので、なるほど!と思えることが多いですね。
もう書く必要も無さそうですが、当サイトでは引き続き、データの提示をしつつ、状況の確認を続けます。
世の流れはダウンロード販売へ
音楽を取り巻く環境はめまぐるしく変わりつつあります。
昨今は、オリコンのランキングも実際によく聞かれている曲とは違ったものが上がってきていますし、そもそもCDの売上げが数千枚でオリコンの上位にランクインできるようになったというのは、CD文化からの移行を如実に示しているのでしょう。
では、どこに移ってきているのか?と考えると、やはり一番最初に浮かぶのはiPod等に象徴される携帯音楽プレイヤーでしょうか。
今回は、携帯音楽プレイヤーについて考えていきたいと思います。
先ず、携帯音楽プレイヤーの歴史を振り返ってみましょう。
1998 mp3普及期へ
1998 mpman出荷開始
1998 RIO出荷開始
2001 iPod出荷開始(Mac専用)
2002 iPod出荷開始(windows対応)
2002 gigabeat出荷開始
2005 iTunes Store開始(日)
今ですと、携帯音楽プレイヤーというとiPodの代名詞的なところもありますが、そのiPodの累計出荷台数が1000万台を突破したのは、2004年10月頃であり、当初は様々なmp3プレイヤーによる群雄割拠がされていた感があります。
当時のmp3は非常にアングラな雰囲気がありまして、MP3TIDALWAVEなどのサイトをドキドキしながら見ていたことを思い出します。
# うちのサイトが当初、背景が黒だったのは、MP3TIDALWAVEの影響を色濃く受けたものだったりします(笑)
さて、日本レコード協会では、音楽配信の統計もとっています。その有料音楽配信売上実績によりますと、
となります。本来の日本レコード協会の統計では「Ringtunes」「Ringbacktunes」「シングルトラック」という分類をしていますが、これはそれぞれ「着うた」「着メロ」「着うたフル」という表記に置き換えてグラフを作成しています。
これを見て先ず驚くのがインターネットによるダウンロード金額・件数の少なさでしょう。
p2pによる違法ダウンロードに影響を受けているのかどうかという可能性についても言及してみたいところですが、今回はスルーしておきます。
モバイルについて考えると、CD購入と競合する項目は「着うたフル」のみとなりますので、着うたフルの挙動に注目しなければなりませんが、2005年より伸び率が殆ど変わらず伸びてきていることがわかります。
この統計には、2004年のデータはありませんが、伸び率を考えると、2004年はほぼゼロになりそうです。
また、着うたフルのサービスが開始されたのは2004年11月ですので、まさに2005年スタートと言って良さそうです。
…と、言うところでお気づきでしょうが、CDのダウンロードの代替となるべきモバイルサービスの着うたフルは2004年以前はほぼゼロだったという事で、CDの売上げ減が1999年から始まっていることを考えると、CDバブルがはじけた原因とはなりえないという事です。
また、日本でのiTunes storeの展開も2005年から。
ダウンロード販売が始まる以前から、CD業界は斜陽を迎えているのです。
それにしても、着うた、着メロの売上げ等もかなり大きいことが分かります。
これは音楽の新しいサービスの方向…曲を聴くということではなくて、曲を利用するという方向性を示唆していると思います。
今まで、消費者は音楽を聴くということしかCDの利用方法は殆どありませんでした。しかし、携帯の登場により、誰もが音楽を加工して利用するという、聴く以外の楽しみ方が身近になったのは、音楽という嗜好そのものの新しい芽生えではないでしょうか。
2010年02月02日
CDは誰が買うの?
さて、引き続き、CD不況の原因と呼ばれるものについて見ていきます。
先ずは少子高齢化の問題です。
これは、そもそもCDは若者文化であり、CDを買う層が少なくなったから…と言うものです。
日本の人口は未だもって増加傾向にある事実を捉えて、この説を聞くと面白いですね。
この考えは、CDを買う層というのが特定の層を中心としていて、ある一定の年齢になったらCDから卒業し次の若者層がCDを買ってくれる…という意識がないと生まれてこない発想です。
CDから卒業することがなければ、新しい若者層がCDを購入する層に合流してくれば、日本の人口(高齢者)が増えている現状では、CD購入者というのもは減らないのです。
それではグラフを見てみましょう。
CDの購入が出来るような年齢を15歳以上と考えて、15歳以上人口の推移を見てみます。
総務省の人口統計を利用して、年齢別(5歳毎)+15歳以上人口グラフを作ってみます。
こちらは、年齢別の積み上げグラフに、15歳以上の人口の推移をオレンジ色の折れ線で表示したものになります。
CDの売上げが減っている1999年以降でも、15歳以上人口は増えています。
現実にはターゲット層の人口は言うほど減っていない…というか、まだ増加傾向にあるのです。
少子化のため、CDの売上げが減っているという人は、CD(音楽)は(若年)世代限定の嗜好品であるという意識があるのでしょう。完全に若年世代をターゲットとした商品としてCDを捉えて、以下のグラフを見てみましょう。2000年を100とした、年齢別人口の推移です。
確かに若い世代は減っています。
尚、人口統計は1985年~2005年までは5年刻みのため、その間を補正した数値で埋めてあります。
CDのコア購入層の世代を10歳~34歳として良いのかどうか分かりませんが、この年代くらいでしょうか?その世代の人口推移(赤い太い線)を見ると、確かに減少傾向にあります。
確かに、コア層に関しては人口が減りつつありますので、少子化が原因…と言えなくもありません。
しかしながら、この考え方はなんとも勿体無いと思います。
それと言いますのも、一回は音楽にハマった層を卒業させてしまっているという事だからです。音楽は身近に存在するものですが、それを若い世代のみのものと
考えて提供しているという考え方。それは、そもそも会社のセールス手法としても間違ってます。運動神経が必要だから若い世代しかダメ、頭の回転が速い若い
世代しかダメ…と言うように年齢制限をする必要のない分野なのですから。
歳をとったって、音楽は普遍です。何歳になっても楽しめるというのに。
ただ、いつまでもヘビメタが好き…って事はないでしょうから、世代にあった音楽を提供していく必要があります。
目先の売上げにばかりこだわるあまり、ビジョンを描けず、思考を停止させた音楽業界がそこにある様な気がします。
2010年02月17日
ロスジェネ世代の教養娯楽費
私はギリギリ ロスジェネ前世代です。
折りしも、バブルがはじけ、内定取り消しという言葉が新聞を賑す様になった走りの世代です。
当時、入社した会社に新聞社が取材に来て、新人の声を取材していきました。その同期が発した言葉は「内定取り消しになるかと思いました」というもので、その記事を見た、会社の上層部はきっと苦笑した事でしょう。
幸いにも私が入った会社は内定を取り消すという事はありませんでしたが、その翌年は入社人数がゼロでした(笑)
数年、新規採用を採らなかった様に記憶しています。
さて、総務省では、家計調査も行っていまして、その中に1世帯当たり平均一ヶ月の収入と支出をまとめたデータがあります。
果たして、バブル時代から、バブルがはじけた時代と、収入はどの様な変遷をしているのでしょう。
…なんだか納得いかないのですが。。。
一ヶ月の実収入が50万円を越えていて、教養娯楽費も3万円台をキープしているという。。。
このグラフは世帯当たりというグラフなので、複数の方の収入が含まれているだろうと言うのは容易に推察できますが、それでも月50万円の収入とは…。
うちの給料って一体。。。orz
またバブル全盛という時代の1990年とバブル後の1995年を比べて、1995年の方が収入が多いというのも意外です。敢えて理由を付けるとするならば、まだ年功序列的な風習が残っていたという事でしょうか。
まあ、それはともかく、実収入は結構増減がありますが、教養娯楽費については意外と増減がありません。
グラフでは分かりませんが、31,000円~35,000円の間で動いている感じです。1999年が35,284円と一番高く、それ以降は32,000~33,000円の間を行ったり来たりという感じです。
物が売れないデフレと言われていますが、意外と教養娯楽費はCD全盛時代と変わりませんでした。
また、デフレと言うのに、CDの価格は変化していません(前の記事でグラフを掲載)。こういった所に、CD業界の体質が現れているのかも知れません。
さて、それでは教養娯楽費はどこへ消えていってしまっているのでしょう?
尚、厚生労働省が2月2日に発表した毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、2009年の労働者1人当たりの月間現金給与総額は31万5164円だそうです。先のグラフは世帯あたりの収入に対し、こちらの数値は個人当たりの収入で、基準が異なりますがご参考までに。
だいぶ収入が落ちてきていることが分かります。ここまで落ちてくると、CDなんて買っていられない…と思うのも分かります。
ちなみに私自身はどうなのか?と問われると、、、
こんな感じ。
CD不況もなんのその、ひたすら買い続けました(笑) 私の場合はアニソンCDでしたけれど。
もっとも、そんな時期は10年も続かずに、今はCDを買うことはなくなりました。
いえ、CDを買う/買わない以前に、根元的な問題としてアニメを見なくなったので、曲に触れる機会がなくなったというのが正しいですね。
また、頻繁に発売されるCDについて行けなくなったというのもあります。
消費者は搾取対象としか見られていないのかな?という疑問が鎌首をもたげてきたというのもあります。
一言で言うと、CDを買うことに疑問を持ったという事でしょうか。
何故、そんな疑問を持つかというと、私の場合は音楽が好きだからCDを買っていたわけではなく、コレクター的な要素でCDを買っていたからです。そ
のため、購入したはいいものの、未開封のCDが半数以上あります。また、実際に曲を聞いたものは1/10もあるでしょうか?…とは言え、カラオケ配信され
ているような曲は全て歌える程にしていた…という、完全性を求めている部分もありましたので、そういう面でなんでもかんでも(発売されるものは全て!)購
入するという行動を起こしていたのだと思います。
振り返ってみると、私の場合は、そもそも、CDを買う理由がズレていたというのが大きいと思います。収集という理由はそこに理由があるようで、何もありません。好きこそものの上手なれ、です。
さて、先日Visual artsコミケ77のCD販売がありました。一時、I've CD等はだいぶ人気があり、通販開始後すぐに完売となっていたかと思いますが、最近の実感として、売れ方が普通になってきたのかな?というのがあります。まだ、完売にならないというのが、なんとも不思議で意外です。
熱狂的な信者はどこに行ってしまったのでしょう?
ここにも層が薄くなりつつある世界。卒業者を見ることが出来ると思います。
2010年02月19日
CD売上閑話休題
今回、こういった事を改めて書こうとした際、やはり必要となるのは現状を分析した根拠になるわけで、色々な資料を集めていました。
そして思うことは「有料の資料ばっかり」ということで、どこぞの企業が分析するのなら予算は潤沢でしょうが、一市民が行うには予算はありませんし、分析したからどうこうという結末があるわけでもないので、そんなにお金をかけることが出来ないという現実でした。
そんな訳で殆どの資料がネット上に散逸している断片を集合させて作ったものになります。一番大きな資料は総務省の統計局の資料ですが、かゆいところに手が届かない資料でして、詳細を知りたいとなると「○○白書」という有料の資料にたどり着くことばかりでした。
中でもネットでそういった統計を公開していないところは悩みました。
一番悩んだのは、ゲーム機の販売情報を知るための、社団法人コンピュ-タエンタ-テインメント協会発行
CESAゲーム白書でした。サンプルPDFとして、近年のものだけはあるのですが、過去の情報が一切拾えない…。某海外サイトでゲーム機の販売台数を拾い
ましたが、日本で情報を拾えないことにがっかり。生データはともかくとして、グラフ等を公開して、ゲーム業界に提言をしていくという事はないのでしょう
か?>CESA
さて、それはともかくとして、ゲームも最近は落ち目な感じがするのですが、気のせいですか?
気のせいではないと思います。据え置き型ゲーム機は明らかに縮小傾向(いずれ、本記事でグラフを示します)。しかし、携帯型ゲーム機の躍進によりかろうじて保っている感があるのが、現在のゲーム業界の様です。
どこも同じなのかな?
ってのが、現在の率直な感想です。
何でも生まれてから、衰退するまでに「○年かかる」…なんて説でも唱えられそうな予感。
人間の飽きるスピードと言いますか、サイクルと言いますか、そんなものがあるのでは?と思いたくなる様な、成熟した文化が衰退していく…
それは決して、その文化がなくなる…ということではなくって、皆が熱狂的に一つのものを支持する、支持できるのは、ある一定の期間しか保たなくて…なんていう、人間学と言うか、社会科学と言うか、そういったものになっていきそうです。
で、色々な分野で既存の文化の衰退(に見える、一時的な?縮小)があります。「ラジオ」文化もその一つです。
ラジオの危機は「生声の危機」でもあるより
・ラジオのチャンネルを合わせるという行為そのものができない
・友達が聞いていないから
と、あっさりと切り捨てます。メディアの側から歩み寄らないとダメ。更にそれが流行にならないとダメ。
これはハードルは高いわ。
次は新聞・書籍業界の話。
変幻自在のアップル「iPad」、紙メディアの逆襲始まるより
アメリカでも紙メディアは苦戦しているのですね。日本も新聞離れ、雑誌離れ、書籍離れ…と、そんな傾向があるようで、私自身も本を買うことは減ったなぁ~と。買うのは、技術的な解説本ですとか、せいぜい単行本。ハードカバーの本、高すぎですよ!
でも、アメリカは凄いなぁ~と思います。
もう、自分のメディアが青息吐息である事を理解していて、次の勝ち馬に乗ろうとしている。これは日本の色々な業界で出来なかったことだと思います。
待つのは音楽産業以上の悲惨な未来か? 出版業界を駆け巡る電子ブック狂騒の罠
まあ、こんな意見もありますけれど。
それでも、日本は何もせずにいるのに比べて、やっぱりアメリカの方が前向き、貪欲だと思います。
日本の後ろ向きさの一例とすると音楽業界。コピーコントロールCDを発売して、購入者の利便性を制限。
MIDIサイト潰して、音楽の楽しみ方を制限(JASRAC登録すれば…とは言うものの。。。)
逆輸入CDの制限。
ダウンロードを違法化して、、、まあ、これは仕方がないか(^^;;
しかし、こうやって見てみると、新しい事に対して最初に「拒否」ありきの姿勢でいたのが、日本の音楽業界なのかな?と思えます。
損して得取れ!と、無責任には言えませんけど、既得権益を守ることばかりで新しい流れに逆らってばかりいて、結局、新しい流れに乗ることも出来ない。衰退
していく道を選ぶのが日本…なのかな、、、なんて思います(滅びの美学は美しいもので、日本で織田信長や、源義経(判官びいき)が好まれるのはある意味、
自分自身を重ねた…、重ねたい(?)美学なのかな?)
ところで、こんな調査結果があります。
音楽購入はCDが56.2%、ダウンロードが11.1%。アイシェア調査
音楽業界に目を転じると、CD不況とは言いつつもまだ買っている人がこれだけいるのです。
そういった人を大事にしていくように目を転じないと、もうね。。。
更に、ビートルズのリマスターCDが大ヒット 時代を超えてファンが増える理由とは?を読んでいただくと分かりますが、コピー制限なんてしなくてもいいものは売れるんです。
CDが売れない理由を自分でなく、他者に求めたとき、この業界の未来が決まったのではないでしょうか?
2010年02月22日
CDのライバル達
所得倍増計画が叫ばれた頃、国民の目指すところは一つでした。
そういった時代の中では、皆が同じものを見、同じものを聴くという、価値観もそんなに差がなかったのではないかと思います。
時は閉塞時代となり、生活水準は上がり、衣食住にはそんなに困らない時代となりました。…もっとも、最近は非正規雇用の関係での問題もあり、必ずしもそうではありませんが、時代の方向性として、、、と言う意味で。
そんな時代の中では、幸せのカタチも分からなくなり、個々に自分にとってのナニかを探さなければならなくなりました。
必然的に好みも細分化し、かつての様に誰もが知っているヒット曲というものもなくなりました。
ヒット曲が減ったということを改めて確認してみたいと思います。
シングルの年間販売数上位の売上げ枚数をまとめたグラフを見てみましょう。
こちらは、ミュージック・あみ~ご - 音楽ランキング -のデータを集計させていただきました。ここに感謝と御礼を申し上げます。
1990年と1991年で大きな変化がありますが、これは集計方法が変わったのでは?と思わせます。レコードからCDへの移行が反映されたのかも知れません。
少なくとも、1990年以降はメディア的な変化がないため、そのままのデータを見ても良さそうです。
さて、このグラフを見ていただくと、今現在のベスト10位までの販売枚数は最盛期のベスト1~3を合わせた売上げ枚数にも及ばず、シングルの売上げはだいぶ小ぶりになったと言えます。
個々人の趣味が多様化し、一方をみんなで向くという事がなくなったと言えると思います。
ある意味、個が尊重されるいい時代なのでしょうが、自由度が高すぎるあまり。時代としての方向性を見失い、何をしたら幸せになれるのかが分からない不幸な時代なのかも知れません。
次に総務省の家計調査のデータから、どんな項目に出費をしているのかの推移を見てみましょう。
こちらのデータは2002年のものからしか存在しないため、CDに劇的な変化が起きている1998-2000の変化を見ることが出来ないのが難点です。
素のデータだと分かりにくいため、2002年を100とした増減のグラフを見てみましょう。
2002年以降のデータとは言え、総じて言えることは、書籍・音楽といった既存のメディアに関する支出が落ち込んでいます。
既存メディアの一角であるゲームに関しては、2005年までは落ち込んだものの、2006年以降は持ち直しています。これについては後述。
映画・演劇等は踏ん張っているというところでしょうか。
また、放送受信料(NHK・CS等)と車の維持費といった固定費については、増減を繰り返しながらも近年まで増加傾向にあったことが見て取れます(車は最近は減少傾向ですね)。
それでは次はもっと長期に渡ったグラフを見つつ、最近はどういった趣味に人は興じているのか考えてみたいと思います。
…と、その前に若者の○○離れのガイドラインを貼っておきます。
世の中、今までの価値観が崩れてきているのでしょうか?
物質的に豊になった時代、人が本質的に求めるものを考えていかないと行けないのかも知れません。
2010年03月23日
怠惰のツケ
…っと、時間が空いてしまって、何を書いていたんだっけかな?
一応、既にある程度書いてある原稿もあるのだけど、まっ、いいかな…。読んでいる人もいないだろうから。。。
ゲーム業界についても分析してグラフも既にアップロードしていたりするのですが、なんだかもうどうでもいいかな?って気が…
そんな訳で、内容を変更してお届けしております。
なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからである。そして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからである。ドラッカーは、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言う。廃棄せずして、新しいことは始められない。
誠、このとおりなのだろうな…と思います。昨今の「○○不況」。既存の価値観が全て崩れ落ちていくかのように今まで売れたものが売れなくなり、時代は移ろっています。
…が、そもそも「○○不況」と冠する前に、不況になることは当たり前のことではないか、言い方を変えると、一つのもので売れるのは一定期間しかないのではないか?と考えると、なんとなく合点が行く自分がいたりします。
今、私たちが当たり前のものとして手に取っているもの、それは当たり前であるが故にワクワク・ドキドキしません。御馳走を食べることが稀だった時 代、御馳走を食べることはワクワク・ドキドキしたでしょう。御馳走を食べたいと思ったでしょう。でも、御馳走が当たり前になった時代…、食卓に普通に銀 シャリがのぼる時代では、もはやそれは特別なものではなく、もっと別のワクワク・ドキドキするもの、、、例えば寿司を食べよう!とか思うわけで、消費の方 向性がそちらを向いてしまうのではないか…と。当たり前になると、必要なときに手に取ることになり、意識して消費をすることがなくなります。そういった当 たり前の物の中で、手に取ってもらうためにはその物の自力が必要になると思います。
CD、ゲーム、バイク(参考:市場規模はピーク時の6分の1!? バイク業界にみる縮小市場で生き残る方法)…、全て「○○不況」でくくられそうなジャンルですが、どれもこれも一般的になりました。すると、もうこれらを所有する、これらを使うことでワクワク・ドキドキが得られなくなったとすると、もっと別のものを求めて行ってしまうということではないでしょうか。
逆に言うと、新しい楽しみ方を提案できなかった業界の怠慢と言えると思います。
まあ、そういう中でも任天堂の新しい方向性の追求というのは、元ゲーマーの私とすると、凄いなぁ~と思う事柄です。
逆にPS3,XBOX360の様なゲームはリアルさを追求するあまりゲームというものの本質を忘れてしまった…という気もしないではありません。
2010年03月28日
他力本願
続いて「自力」の話。
それぞれの元々の魅力のお話ですが、今回はCDのお話で、作っている人について考えて見ます。
以前ご紹介した「業界について語るスレ」にありましたが、今現在はレコード会社のピンハネが大きいとありましたが、実際に作曲家さんのサイトにこの状況について説明したものがありましたので、引用します。
テレビが独占する音楽著作権利益の実態 (作曲家 穂口雄右氏のサイト)によりますと、

CDの売上げから大幅にピンハネされてしまい、結局の所、14曲入りのアルバム1曲の作曲をした場合、実際に手にすることができる金額が約1円60銭円と言うのは、、、。
今現在売り上げている一般のアルバムなんて数千枚単位になってきてしまっていますので、計算をしてみると、、、どうやって生きていったら?という収入にしかなりません。
仮に14曲全ての作曲をしたとしても、この14倍、、、たったの14倍。金額にして、スズメの涙…、、、です。
この対価で、必死にいいものを作ろうという人が果たしてどれだけいることでしょう…
またコンペ等を行って、曲の採用を行っている現場の声もあります。
日本音楽家ユニオン関東地方本部オフィシャルサイト - 職域「作・編曲会議」からのおしらせ(詳細)[プレゼン・コンペ問題意識委員会]
アーティストサイドに「うちの事務所はおたくのアーティストのためにこれだけの数の候補曲を集めました」と言いたいがためなのか、「採用されなけれ ば報酬はなし」を良いことに、たった1曲を決めるためにみさかいなく発注し、数百曲を集める業者がいる。それだけの曲数をちゃんと聴いてもらえた上で採用 不採用の判断してもらっているのか、非常に疑問に思う。
コンペに提出した作品と酷似しているメロディーが、自分の知らないところで商品化されているなど、無断流用された疑いがある。
採用になった場合でも、着うた制作をしている友人から「君の曲を作業したよ」と言われて初めて採用になった事を知り、慌ててコンペ主催者に連絡すると「あれ?お伝えしていませんでしたっけ?」と言われた。
メロディを選定するためのコンペなのに、本番に近い形までアレンジを施したデモが求められ、男性作家であっても、女性アーティストのコンペであれば 女声の仮歌でなければ聴いてももらえないので、メロディを作る以外の労力が求められる上に、仮歌歌手やミュージシャンへのギャラを負担せねばならないの で、参加すればするほど出費が増える「プレゼン貧乏」に陥る若手が続出し、作家が非常に疲弊している。
こういった状況が許されている業界の体質というものを窺い知ることがが出来ます。
閉じた業界と言わざるを得ないでしょう。
こんな所で働くのは魅力的ですか?
いいものが出来ますか?
もはや、誰が誰の首を絞めているのか、説明する必要もなさそうです。
自分で業界を変えようとせず、業界に寄ってくる制作者をうまく使って、そこから吸い上げている現状。自らを変えようとしない者に誰がついていくのでしょうか。
2010年03月29日
CDを喰らったものたち
前回のシリーズからだいぶ空きましたが、引き続きCDを喰らったものたちについて。
CDと競合しそうな分野、CDと相乗効果を生み出す分野、様々ありますが、そういった分野は今現在どういった状況なのかを見ていきたいと思います。
・カラオケ
先にカラオケ人口を示しましたが、下り坂です。
・テレビ
総務省によるテレビ視聴時間の推移を見てみましょう。
大きな変化はないことが見て取れます。
・携帯電話加入者数
総務省によりますと、1990年代後半から一気に加入者数が伸びています。
1999年には6000万台。日本の人口のおよそ半分の人が持っていることになります。
これだけの人数が持つようになると、学生にも携帯電話が行き渡るようになって来ているでしょう。
そして、お小遣いが限られている学生などは携帯電話以外に振り分けるお金と時間が減ってくることも考えられます。
・車
自動車検査登録情報協会の自動車保有台数によりますと、
乗用車は統計が始まって以来、右肩上がりで増加しています。
さすがに最近は伸びが止まっている様ですが、この増加率はすごいですね。一気に車社会に突入したという事が見て取れます。
バブルの頃は、車にお金をかけることもステータスだった時代があったように思います。もっともこのグラフは車の台数のグラフなので、「趣味としての車」
「実用としての車」は区別されませんが、車の台数が増えるという事は、家計のどこかの支出を食って増加している…と考えられないこともありません。先の車
維持費のグラフとあわせて考えると、車の台数が増えるにしたがって、1世帯辺りの車維持費が増加していますので、逓増の傾向があるのかと思います。
尚、2005年の国勢調査によると、日本の世帯数は4906万世帯ですので、1世帯に1台以上車が普及したという事が言えるでしょう(実際は業務用に使用している車もあるでしょう)。
次に各種のレジャーをみてみます。財団法人 自由時間デザイン協会 「レジャー白書 2002」…ちと、古いデータなのですが、こちらの白書も有料でして、ネット上で手に入るデータが限られていましたので、ご容赦ください。
こちらも、増減率で見たほうが分かりやすいので、増減率で見てみましょう。
1993年を100(パソコンのみ1996年を100)としてあります。
テニス、釣り、ゴルフ、スキー、ギャンブル関係が落ちてきています。増加・横ばいのものは、ジョギング・マラソン、旅行、学習、外食、音楽鑑賞!。
パソコンは増加が著しいですね。
興味深いのは音楽鑑賞が趣味と答える人は、CD不況以前/以後も大差がないということ。それなのに、CDの売上げが落ちているというのは面白いですね。
ただ、「趣味は?」と訊かれると、とりあえず「音楽鑑賞」と答える人も多いかと思います。音楽鑑賞という趣味の重みは微妙な感もあります。
全体的に言えそうな事柄とすると、1998-2000年にかけて、CD不況のライバルたりえるものはここには居ないということではないでしょうか?
逆に、CD不況と共に不況期に突入している趣味も存在するように見受けられます。
例えば、テニス、ギャンブル等はその最たるものです。
特にテニス等は、かつて、趣味の王者と言われて全盛を誇っていた様に記憶していたのですが…
私が今の職場に入ったときのみなさんの趣味を聞いていると「夏はテニス、冬はスキー」という人ばかりでした。それが今や…。ちなみに私自身も中学生の頃は
目にいいという理由(ボールを目で追うのがいいのでしょうね)で、テニス部に入っていました。でも、テニスそのものは好きではなかったので途中から幽霊部
員に…。コレクションもそうですけど、目的が不純だとダメですなぁ…(汗
さて、先に挙げたグラフでゲームの支出が伸びていました。ゲームもCDのライバルと言える存在かも知れません。
次回はその歴史を振り返ってみましょう。
2010年03月31日
同じ道を歩みつつあるゲーム~そして終焉へ
CD業界と似通った動きをたどっているゲーム業界。
しかし、CD業界よりもチャレンジしていて、良くなっていきそうな気配もあります。
そこにCD業界との共通点と今後を見出して行こう…と考えていたのですが、なんだか、もうこの記事はいいかな…って気になって来てしまいました。
…と言うのも、分析していけば行^くほど、後ろ向きの業界の姿が見えてきてしまって、そんな姿を見るに付け「ああ、私はこの業界で働いていなくて良かった…」なんて思ってしまうのですから。。。
ゲーム業界について簡単に述べておきます。
先ずは、ゲームハードの出荷台数の変遷を見て頂きましょう。
ゲーム業界も斜陽を迎えつつあります。据え置き型ゲーム機の出荷台数は明らかに斜陽と言えます。
しかし、家庭用ゲーム機の出荷台数を見てみると、2005年を契機に増加方向に転じています。何故かと言うと、据え置き型ゲーム機の穴を、携帯用ゲーム機が健闘して埋めているのです。
これは「携帯用ゲーム機」の高性能化による新しい楽しみ方を提示することが出来ている証なのではないでしょうか。
翻って、音楽業界の断片を2chのとあるスレにも見ることが出来ます。
通信カラオケMIDI制作者 憩いのスレッド
こちらは、通信カラオケのデータを作っている方が集まっているスレです。
過去のスレから見ていると、1曲辺りの制作単価の下落 5万円/曲 → 最安 1.5万円/曲 なんて話もありますし、発注が切られたなんていう話もあります。
そもそも、カラオケメーカーの淘汰再編もあり、発注元が減っています。
また発注が海外に切り替わっているという話もありまして、直接CDとは関係はありませんが、音楽業界の厳しい実態を別の面から見ることができると思います。
前回の記事で書きましたが、作曲者も苦しい生活。カラオケ制作も斜陽…と。成熟しすぎて、斜陽ってのもなんだか悲しいですけど、作る人が食うや食わざるやでは、いいものは出来ませんよね。
…とか言うと、ゴッホは絵を描く道具にすら困るくらいの貧乏だった...なんて指摘があるかも知れませんね(笑)
なんでこうなったのか?と言うことを考えるのですが、音楽業界って言うのは、売る人と作る人がきっちり分かれているからなのではないでしょうか。
作る人と売る人が分かれていて、それだけなら問題はなかったのでしょうが、売る人の声が大きくなってしまい、業界が傾きかけても製作者を酷使・搾取すればなんとかなると判断し、実行してしまったのではないかと。
そして、何故その様な道を選んでしまったのかな?と考えると、それは「既得権」「原因他人説」に尽きるのではないかなと思います。自分が得たものを 守る時に、自分の領域に侵入した者が悪いから、そちらを叩こうとしたために、原因を人に丸投げしてしまった。その時に何故、自分の力が弱くなって来たのだ ろう?どうやったら盛り返していけるのだろう?と考えることをしなかった。人に責任を転嫁し、考えることを止めてしまうとそこで全ては終わってしまうのか な…と考えます。そもそもそれは「既得権」と言うべきものではなく、努力の賜物の上に得られる対価だったという事を忘れてしまったのかな?と。
今までに書いてきましたが、CD業界が原因を転嫁した事柄…
・コピーコントロールCD
・輸入盤制限
・違法ダウンロード
そんな事を考えていると…
http://www.nikkeibp.co.jp/article/nba/20100326/217846/
回答「それはずばり、人のせいにしないことです」
自分の問題点を直視しようとしない者はどうなるのか…。「何も考えていなかった」という当たり前の帰結がここにあるのでしょう。
【第108回】部下は育つもので、育てるものではありませんにありますが、
ファンに新しい提案をしていくことが出来なかった、ただ単に現状を維持する事に力を費やしてしまった。そして、そのために、思考を停止してしまった、この業界に黙祷を捧げます。
2010年06月01日
いままで音楽産業と呼ばれていたものは、ニセモノを売って稼いでいたんです。
「いままで音楽産業と呼ばれていたものは、ニセモノを売って稼いでいたんです。」 日経ビジネスオンラインより。
音楽≠CDという事で、根本的に音楽を売るということはどういうことなのかを考え直さないといけないのでしょう。
思考を停止させて、CDの売上げだけ考えている。既得権はやっぱり手放したくないよね~って言っているうちはビジネスチャンスもないのでしょうね。
そして、記事は続けて、
「メジャーレーベルへ流れていた金が、ライブハウスで1000円のCD-Rを売っているような、世間では名も知られないミュージシャンのところに、金の流れが変わっている」
「でも、そういうミュージシャンはプロとして食えているのか」
「それだけでは食えないかもしれない。でも食えなくちゃいけませんか?」
「いったいそれをプロと呼べるのか」
でも、「プロ」という定義からして元々は曖昧なもので、プロ=儲かるという図式も実は最近作られたものかも知れません。
ゴッホなど、絵の具にすら難儀する生活をしていました。
ルネッサンス期の画家はパトロンを見つけないことには、絵を描くということすら出来ない生活でした。
特に昔はそういった芸術的な趣味を持つ人は富裕層しかおらず、そこに取り入って生活できる人が限られていたのでしょう。しかし、現在は庶民でも芸術 的な趣味にお金を割くことができるようになり、結果として、ニッチ市場のプロ~その活動だけで食べて行くことができる人が生まれてきたに過ぎない気もしま す。
であれば、本当は、
プロ=プロ意識
なのかも知れません。
そこにお金がついてくる人は幸せ者…と。
* レンタルCDの存在
* インターネットを通じた 音楽配信の普及
* CD-R等の普及
* 違法コピーの横行とそれに対するコピーコントロールCD導入による失敗
* PCを経由した違法アップロード
* 音楽以外(携帯電話、映画、ゲームなど)への投資の増加。
* 長引く不況による娯楽費の減少に伴うCD購入費の節約。
* 少子化
* 音楽会社及びレコード店による出荷及び入荷枚数の抑制。
* 爆発的に売れていた一部アーティスト作品のCD売上枚数減少。