PC-8801版 C-DOS

起動画面
TSUKUMO謹製のC-DOS(コンビニエンスDOS Version2.0)です。
当時、Tapeメディア等のソフトも数多く存在しました。Tapeメディアは300bps(bit per seconds)又は1200bpsと言ったスピードでファイルを読み込みます。
今1MBのファイルをダウンロードするのに1秒かからない様な時代にTapeメディアで1MBのファイルを読み込むとなると、300bpsで1時間程度でしょうか?なんとも長い時間がかかります。これを解決したのが、C-DOSを始めとしたDOS群です。C-DOS以外にもSweet88や、PC-8001用のS-DOS80等がありました。うちのS-DOS80から北海道防衛作戦が出てきましたので、いずれまとめて見ようと考えています。やり込んだゲームの一つです
このC-DOS、エミュレーターでの起動を選びます。QUASI88でのみ起動を確認しました。
ランチャー画面
ランチャーを搭載し、C-DOSが起動すると同時に登録されたゲームをプレイしやすいようにする事が出来ました。一つのFloppyに複数のゲームを登録出来る…、なんとも便利な存在でした。

さて、今回C-DOSを取り上げたのは他でもない、C-DOSのマニュアルが面白いからです。
C-DOSのテクニカル・ノウハウ集 VOL.1の目次には…

・第1章 はじめに
・第2章 ユーティリティーVOL.1の使い方について
・第3章 ツクモ・ソフトのおとし方について
・第4章 市販ソフトのおとし方について
・第5章 ユーティリティソフトの使い方について
 5-1 C-DOS88スレーブディスケット起動用ソフトWAKE UP SLAVEの使用方法について
 5-2 DISK TURBOインターリーブ・フォーマト・コンバーターの使い方について
  表1 セクター番号の並び方
  表2 インターリーブ・フォーマット・ベンチマークテスト
 5-3 PC-8801mkII用シングル・クイックコピー使用方法について
・第6章 最後に

とありまして、第1章には、

 コンビニエンスDOSを発売して1年以上にもなりますが、当初はほとんどマニュアル通りに素直におとせたソフトも、現在でははっきり言ってC-DOS88は無力に等しいと言っても過言ではなくなってきました。
 しかし、現在の市販されているソフトテープについて言えば、別に当社のDOSがテキストウインドウ内を使っているからだめだ、とか言う問題では無く、たとえ他社の同様のDOSが、ワークエリア内の少ない空間で動いているからおとせる等という事も全く言えないのです。
 いずれにしても、勝手にオートスタートしてしまえば、我々は何もする術もなく、どの会社のこの類いのソフトも、まったく無力な商品なのです。
 従って、残された唯一の道は、ソフトのIPLを解析するという道しかないのです。このためバージョン2.0では、ザイログ形式の逆アセンブラ、ミニアセンブラを搭載致しました。
 しかし考えてみるに、世の中にいったいどの位の人が、これら難解なアセンブラ等をご理解なさっているのでしょうか。
 なかには、テープのロードの事すらよく判らない人が存在するのですから、我々は、このおとし方集を発売するに際し随分社内で議論しました。つまり我々はDISKを持っているのにテープから10分もかかってテープからロードしてゲームをしている人達をお助けしたいのですが、世の中には、人の苦労の陰で甘い汁をすする“レンタルソフト屋”等という商売が存在し、このような時代に、この種のものを販売すると彼らの思うつぼではないかと考えたからです。
 しかし、毎日寄せられるお電話の中には、「コンビニエンスDOS等、何の役にも立たない」とか、ひどい人になると「詐欺だの」「金を返えせ」等と罵られる事もあり、少なくともC-DOS88は、そのような商品ではないので、おじさんは怒りました。
 そこで我々は、そのソフトテープを持っていない人には販売しない、という事を大前提にこのノウハウ集VOL.1を発売することにしました。一応このシリーズは、VOL.2、VOL.3と定期的に発売する予定ですが、くれぐれも悪用されないようにお願い致します。もし一人でも悪用されますと、今後PC-8801mkIIのユーザーの皆様は、相変わらず10分もかけてテープからロードしなければならない事になるのですから……。

と発売に際して、大いに悩んだ跡があります。
私も色々なソフトをC-DOSで扱えるようにしました。また、過去の記録(メモ)を見ると、DISKダンプツールを使って、直接DISKのセーブデータを書き換えて改造等をしていた様です。今ではそんなスキルは失われてしまいましたが…。しかし、当時もアセンブラは理解出来ませんでした。アセンブラ入門等も読んでいた筈なのですが、サッパリです。
さて、このC-DOS88は1984年に発売された様ですが、1984年に著作権法が改正されるまでソフトウェアのレンタル業がありました。実際はその後も売却・買い取り制度と言う形で実質的なレンタルが行われていたように記憶しています。ちなみに当地のレンタル屋はその後、ファミコンショップに変わりました。そのファミコンショップも今はクリーニング屋が入っていますので、店長は一体どこへ行ってしまったのかな…と、時代の変化を感じます。
そして第2章には、

 ツクモ製ソフトは、C-DOSへおとしやすいように作られていますので、ほとんど付属のマニュアル通りにおとせます。
 ここでは、マニュアル通りでおちないソフトに限りご説明致します。初心者の方で、この通りの手順を踏んでもおとす事が出来ない方につきましては、残念ながらお電話等でのサポートは致しません。それは、あなたが実際にそのテープをお買い求めになっていらっしゃるか判別出来ないためですので、その旨ご理解ください。
 ただし、現物のソフトテープとディスケット代金、返送の郵送料等として\2,000同封の上、お送り下されば当社でセーブしたディスケットをお送り致します。
 ただし、そちらからディスケットをお送りになるのはなるべく避けて下さい。今までの経験から言って80%のディスケットが折れ曲がって届いてしまいますので、ご注意下さい。

とまあ、自社製のソフトに対するフォローはバッチリです。よくもここまで手間をかけられるな…と、手作りでソフトを作っていた善き時代の名残を感じる事が出来そうです。
また、第3章には同様に他社のソフトも2,000円でDisk化しますと書いてありますので、正統な所有者に対しては手間を惜しまないという姿勢が見て取れます。
そして第6章には「最後に」として、TSUKUMOが違法コピーに対して悩んだ結論が書いてあります。

 皆さんは、この「おとし方集」をご覧になって、現在のソフト市場の陰でいかに凄まじいプロテクト戦争が行われているか、ご理解いただけたかと思います。
 “労せずにソフトを手に入れたい”それは誰しもが内心思っている事かもしれません。
 しかし、コピーが堂々と罷り通れば誰も本気でソフトなど作る気にもなりません。結局、最終的に世の中のソフトがコピーツールだけとなり、コピーするソフトがなくなったとなれば笑い話にもなりませんネ。
 『ツクモ』では、いまソフトを990円で販売する事を本気で考えております。なにしろ私の思うに他の業界の商品に比べゲームソフトは高すぎると思います。
 立派なパッケージ等必要ないから、なんとかゲームが\1,000位で買えれば、だれもレンタル屋等へ行かないでしょう。早く悪循環を断ち切りたいものです。
 なにしろ現在のソフト市場は異常に思えます。
 あるソフトハウスは、プロテクトをかけたゲームソフトを売り、また、あるソフトハウスはそれをコピーするバックアップツールを売る、つまりユーザーは二重の代金を支払わないと本来の権利を獲得出来ないのです。
 むろん、これらは時間が解決してくれると思いますが、ここしばらくは続きそうですネ。
 なにはともあれ我々は、ユーザーの皆様の味方でありたいと思いますので、ただいま“最終兵器”なるものを考えております。完成するかどうかは「?」ですが、完成したらコピー戦争も終結するでしょう。乞う御期待!
(1/9/1984 酒井・記)

最終兵器が何だったのか今でもよく分かりませんが…。ソフトの低価格販売と言うとソフトベンダー尊による販売がありました。うちもタテスカウォーズを買った覚えがありますが、結局低価格路線のソフトで生き残ったものは皆無ではないでしょうか。エロゲなどは今も昔も変わらず8,800円(税抜)の様な感じで、今はアクティベーションを導入しプロテクトとプロテクト解除のイタチごっこをしている様に思えます。コンシューマー系もJailbreak絡みで大変そうに見えます。結局、時代は変われなかった…と言う事でしょうか。私?私は中古屋でコンシューマーゲームを買ったりしつつ、お気に入りの物は発売日に買っています。モンハン4、プレイ予定です!